■葬送について 【天蓋】
葬列において、棺の上に差し向けられたものです。
元々はインドで、強い日差しを避けるために用いられた傘だった。王侯貴族が用いる傘は特に豪華に作られ、常に従者がこれを差し掛けて従ったものであり、また天蓋は権威の象徴の一種でもあったそうです。
雨よけ日よけはもちろん、その他、上から落ちてくるもの(鳥の糞など)から高貴な人を守っていたようです。
また、天蓋は尊く素晴らしい徳を意味し、貴人、貴尊の象徴であるため、天蓋が豪華で美しい程その下に居る仏が徳が深く、偉大であることを表します。そしてこの天蓋は、天蓋を見た者自身が徳を積み、自然と天蓋を差し掛けてもらえるような人物になって欲しいという願いも込められているそうです。
晋山式(住職交代の式)などでは新命住職(法要の主役のお坊さん)の頭上には赤い大きな傘が差し掛けられます。これもそのような意味と考えられます。
仏様の上にあるものを「仏天蓋(ぶってんがい)」、人が座る所の上にあるものを「人天蓋(にんてんがい)」といっています。長學寺でも須弥壇の上に仏天蓋があり、その手前の導師がが座る上に人天蓋があります。機会がありましたら、気をつけて御覧になってください。
このような意味から、亡くなった方も仏として高貴な方、また功徳が得られ、安楽の世界に行けるようにとの願いが込められて、棺上にかざしたものと考えられます。