■葬送について 【輿(こし)ネガン用】

出棺後、棺を乗せて担いで埋葬もしくは火葬場所まで移動するときに使われました。写真の輿は大きさからみて、ネガン用でありますが、上に乗る棺は現在のものより小さかったようです。日本人も年々体格が良くなっていますので、棺の大きさも変わってきているようです。
ネガンが主流になったのは最近で、多くの場合はタテガンだったようです。タテガンとは坐棺とも言われますが、手足を折り曲げて納める形式です。屈葬形式ともいわれます。
棺の周りには門(鳥居)がありますが、仏教でいう 四門出遊説 になぞらえたものと思われます。
ですが、日本の仏教は神道と混ざって信仰されてきましたから、何か神道的な意味もあるかもしれません。何かご存知の方がいましたら、お寺へご一報ください。

輿(こし)ネガン用写真2輿(こし)ネガン用写真1

四門出遊説とは
お釈迦さまが出家する前、城の東西南北の門から外へ出るのであるが、その門を出るときにお釈迦さまが見たものが“生老病死(しょうろうびょうし)”である。
東の門で見たのは腰が折れ曲がった老人だった。お釈迦さまは、いつかは自分もあのようになると、人間の本質を認識した。
南の門ではもがき苦しみ自分の排泄物の上に倒れている病人を見た。そこで、人間だれもが病気に苦しむ悲惨さを知った。
西の門では葬列を見た。人間はいつまでも生きているわけではなく、いつかは生命をなくす、というはかなさを知った。
そして、最後の北の門では、ひとりの修行者に出会った。聞くと、この世の生死を解決するために解脱(げだつ)を求めて出家したという。お釈迦さまはこの修行者の尊い姿を見て、みずから求める道を決めた。