■葬送について 【花籠】
竹を編んで竹竿の先にとりつけたものです。
人が亡くなってから葬儀に間に合うように作るにはかなり大変な作業ではなかったかと推測されます。花籠の中身ですが、籠の下部に白紙をひき、その上に細かく切った色紙と小銭を入れ、そして、竹竿を振ることにより、色紙や小銭が籠外に振り出され舞い落ちるように使われました。花籠から撒かれた小銭を拾うと縁起が良いとされたり、長生きすると考えられましたので、寿命の分与と考えられます。
花籠はすべての葬儀に作られるわけではなく、孫がいることが前提だったようです。若くして亡くなると花籠は作り物にはなかったそうです。
花籠から舞い散る色紙による亡き人への荘厳は、花を散じて如来を供養したという仏典の記述に由来するという説があります。
「長阿含経」には
?利天は虚空中において、曼陀羅花、優鉢羅、波頭摩、拘摩頭、分陀利花をもって、如来の上に散じ、及び衆会に散じ、また、天の末栴檀をもって、仏の上に散じ、及び大衆に散ぜり。
とあり、?利天が曼陀羅花などの花を散じて如来を供養し、とあります。
また「大般涅槃経後分」にも、天の花を散じて如来を供養したことが記されているようです。
小銭を撒くことについては、仏教の喜捨の教えと結びついて、喜んで財宝を施す事とし、花籠を路上で振って、人々に広く布施するという意味を表したといわれています。
細く割った竹で編んだ籠を竹竿の先に取り付けたものです。写真は借りてきたものですが、このあたりで使われていた花籠とは少し違ったようです。写真の花籠は籠を編んだ余りの竹が下から出ていますが、上から出ていたようです。つまり、籠の部分は写真とは反対になります。